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社会・福祉

東日本大震災100の教訓 地震・津波編

[震災復興・原発震災提言シリーズ9]

みやぎ震災復興研究センター・綱島不二雄・塩崎賢明・長谷川公一・遠州尋美/編

2刷
東日本大震災100の教訓 地震・津波編
  • ジャンル 社会・福祉

    判型 A5判・232ページ

    発行 2019年2月

    定価 2,200円(税込)

    ISBN978-4-86342-251-3 C0036

未曾有の大災害の現場で、何が起きていたのか。

被災者の視線で編んだ救援・応急対応・復旧・復興のプロセスにおける経験と教訓。いまだ復興の途上、住民本位からの問題と課題を提起する。
必ず起こるといわれている大災害に備える知恵とヒントが満載。

 

私達は、阪神・淡路大震災以後のわずか四半世紀ほどの間に、実に多くの災害を経験してきた。阪神・淡路の都市型巨大被災、中越地震の山村被災、そして東日本の沿岸地域巨大被災、さらに、熊本の直下型地震、常総、広島、岡山の豪雨による洪水や土砂災害、大阪北部地震、また、北海道胆振東部地震では、都市部の液状化に加えて、すさまじい規模の山地崩壊、そしてブラック・アウトである。
これらの災害は、いずれもハード事業による防災が自然の力には、対抗できないことを如実に示している。しかし、東日本大震災においてもハード面での復興が先行し、被災者の権利である日常のくらしの復興は、後手にまわっている。惨事便乗型の大土木工事復興といえる。もとより土木事業の重要性を否定するものではない。
ハードで災害を未然に防ぐことを旨としてきた「防災」の限界を踏まえ、ハード・ソフト両面を視野に入れたいわゆる「減災」思考により、より早く生活と生業の再建を保証する質の高いソフト面での復興が意図されねばならないのである。ハードが整備され、そこに被災者がはりつけられるという構図は、被災地の真の復興を遅らせ、日常のくらしの復興、地域経済循環の実現等は、後景に押しやられてしまうからである。(はしがきより)

CONTENTS

1 東日本大震災とその特徴
2 発災前
発災前の地域構造/過去に学ばなかった震災への備え
3 発災・緊急対応
生死を分けた避難/困難を極めた援助活動/避難所
4 応急対応
行政復興戦略/応急仮設住宅/災害医療・公衆衛生
5 復旧・生活再建
人口減少/コミュニティと住まいの再建/災害公営住宅/家族・生活困難・生活再建支援
なりわいの再建/教育・文化・芸術/災害とメディア/ボランティアとNPO
6 復興
地域資源の活用と循環型社会・経済システム/原発事故と再稼働問題/
復興予算/創造的復興論批判/人間の復興
7 防災・減災
防波堤/復旧・復興支援組織/災害経験の伝承/災害法制度整備

PROFILE

みやぎ震災復興研究センター

東日本大震災の復興の検証を、被災者の視点に立って進めるとともに、得られた研究成果を被災者の救済と被災地の復興に役立てることを目的として、2018年3月以来9か月間の準備期間を経て、同年12月に発足。代表は、綱島不二雄元山形大学教授、事務局長を遠州尋美元大阪経済大学教授が務める。「みやき」の名を冠しているが、地域を限定せずに研究者、専門家、復旧・復興支援に取り組む人々の幅広い参加を求めている。