キーワードブック 医療と医学


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キーワードブック 医療と医学

三宅貴夫 著
定価 3150円(本体価格 3000円)
ISBN978-4-902244-96-0 C0047

●看護師や医療専門職・福祉専門職のための基礎知識
医療専門職・福祉専門職と専門職をめざす人へのわかりやすい、幅広く総合的に学べるテキスト!

●現代医学の最先端から医療の現場まで、1項目見開き2ページで基礎知識を整理・収録

●もくじ  

読者のみなさんへ

1.医学の基礎―人体の構造と機能―
 1.1 医学と医療―科学としての医学と実践としての医療
 1.2 医学と医療の歴史―疾患との戦い
 1.3 身体の構造と機能―構造と機能の巧みな関係
 1.4 循環器系―血液の流れ
 1.5 呼吸器系―酸素を取り込む
 1.6 消化器系―摂食・消化・排泄
 1.7 神経系―指令の伝達と最も発達した機能
 1.8 血液―酸素を運び、病原体から身体を守る
 1.9 骨・筋肉・関節系―運動の骨組み
 1.10 泌尿器系―尿の産生と代謝物の排泄
 1.11 内分泌系―身体の代謝を司る
 1.12 免疫系―異物から身体を守る
 1.13 感覚器系―視覚と聴覚
 1.14 生殖器系―性活動と新たな生命の誕生
 1.15 皮膚と口腔―体中をおおう皮膚と食物の入口
 1.16 栄養と代謝―人の活動を支える
 1.17 精神活動―身体のもうひとつの世界
 1.18 加齢による身体と精神の変化―老化
 1.19 子どもの心身の変化―発達
●医学研究と動物実験

2.疾患
 2.1 疾患とは―多様な状態
 2.2 疾患の原因―身体と精神と環境
 2.3 高齢者の疾患の特徴―複数の疾患をもつ
 2.4 悪性腫瘍―人体を壊す細胞集団
 2.5 感染症―かぜ、インフルエンザ・食中毒・耐性菌
   感染症・日和見感染症
 2.6 心身症―心から体への疾患
 2.7 自己免疫疾患―自らの身体を非自己と認識
 2.8 先天性疾患―遺伝、胎内環境による疾患
 2.9 生活習慣病―生活による疾患
 2.10 労働における疾患―労働災害
 2.11 公害による疾患―多様な公害と多彩な健康被害
 2.12 循環器系疾患@―脳血管障害
 2.13 循環器系疾患A―高血圧・狭心症・心筋梗塞・
    不整脈・動脈硬化症・静脈炎吸器系疾患―肺
    炎・気管支喘息・慢性閉塞性肺疾患、肺がん、
    肺結核
 2.15 消化器系疾患@―口から肛門までの消化管の疾患
 2.16 消化器系疾患A―肝臓、膵臓、胆嚢の疾患
 2.17 神経系疾患@―治療困難な脳の疾患
 2.18 神経系疾患A―脊髄・末梢神経の疾患
 2.19 造血系疾患―貧血・白血病・血小板減少症・
    リンパ腫・骨髄腫
 2.20 骨・関節・筋肉系疾患@―骨粗鬆症・骨腫瘍・
    骨折
 2.21 骨・関節・筋肉系疾患A―関節症・関節リウマ
    チ・通風・筋ジストロフィ
 2.22 泌尿器系疾患―腎臓から尿道までの疾患
 2.23 代謝・内分泌系疾患―糖尿病・高脂血症・甲状
    腺疾患
 2.24 感覚器系疾患―眼と耳の疾患
 2.25 皮膚疾患―目に見える多様な疾患
 2.26 生殖器系疾患―更年期障害・女性性器腫瘍・
    不妊・勃起障害
 2.27 口腔疾患―口内炎・口腔がん・う歯・咬合不全・
    歯周炎・顎関節障害
 2.28 特定疾患―原因不明で治療法がない稀な疾患
 2.29 特定疾病―若年期の人が介護保険を利用できる
    疾患
 2.30 けいれん性疾患―治療可能なてんかん
 2.31 精神疾患@―認知症
 2.32 精神疾患A―せん妄・幻覚妄想状態・妄想症
 2.33 精神疾患B―統合失調症・躁うつ病
 2.34 精神疾患C―神経症
 2.35 精神疾患D―その他の今日的精神疾患
 2.36 小児の身体疾患―発達のなかの体の疾患
 2.37 小児の精神的障害―発達のなかの心の障害
●時代とともに生まれる新しい病気

3.医療
 3.1 医療―多分野に支えられる
 3.2 診断―進歩著しい診断技術
 3.3 治療―多様な治療技術
 3.4 薬物療法―治療の柱
 3.5 外科療法―手術による治療
 3.6 リハビリテーション医療―障害をもちながら
   生きることへの支援
 3.7 心理療法―心から心への療法
 3.8 臓器移植―過渡的な治療手段
 3.9 生殖医療、再生医療、遺伝子医療―生命と倫理
   が問われる医療
 3.10 チーム医療―多専門職種による医療
 3.11 終末期医療―死に至るまでの生への支援
 3.12 在宅医療―生活の場で診る医療
 3.13 地域医療―生活の場で地域の特性に配慮した
    医療
 3.14 救急医療―人の命を救う一刻をあらそう医療
 3.15 インフォームドコンセント―患者中心の医療
    に向けて
 3.16 根拠にもとづく医療―経験ではなく科学に裏
    付けられた医療
 3.17 医療と生活の質―生活の質を尊重する医療
 3.18 かかりつけ医―身近で診てくれ相談にのれる
    医師
 3.19 医療事故―避けられないが防ぐべき事故
 3.20 情報開示―患者のために自らを知る情報
●医療格差

4.疾患の予防と動向
  4.1 保健活動―疾患の予防
 4.2 健診―地域、職場、学校における予防活動
 4.3 感染症対策―古くて新しい予防活動
 4.4 精神保健―もうひとつの保健―メンタルヘ
   ルス
 4.5 人口の動向―人口減少と少子高齢化
 4.6 疾病構造・平均余命・受療状況―日本人の
   疾患の動向
●予防は治療よりまさる

5.医療制度
  1.医療専門職
  5.1.1 医師―医療の中心的専門職
  5.1.2 歯科医師・歯科技工士・歯科衛生士
     ―歯科医療を担う専門職
  5.1.3 看護師・助産師・保健師―最も多い医療専
     門職 ―看護師―
  5.1.4 薬剤師・栄養士―新しい役割を担う専門職
  5.1.5 その他の医療専門職@―リハビリテーション
     を担う専門職
  5.1.6 その他の医療専門職A―医療を担う多種の
     専門職
 2.医療施設
  5.2.1 病院―一般病院・精神科病院・専門病院
  5.2.2 診療所―一般診療所・歯科診療所
  5.2.3 地域医療計画―5年ごとに見直される計画
 3.医療関連法
  5.3.1 医療法―日本の医療のあり方を決める
  5.3.2 医師法―医師の責務を定める
  5.3.3 健康保険法―医療を経済的に支えるしくみ
  5.3.4 医療給付と診療報酬―医療内容を決定する
     制度
  5.3.5 高齢者医療関連の法律
      ―「d老人保健法」から「高齢者の医療の
        確保に関する法律」
  5.3.6 精神保健福祉法―精神障害者の隔離から地
     域での生活重視へ
  5.3.7 介護保険法―介護制度における医療
 4.その他
  5.4.1 医師会―学術・政策提言の医師集団
  5.4.2 医学会―日本の医学をリードする専門集団
  5.4.3 医学教育―医学・医療の大学教育から生涯
     教育へ
●高騰する医療費

読者のみなさんへ

 現代の日本において私たちは、医療と深くかかわりながら生活しています。医療は、科学の一分野である医学と科学技術の進歩とともに常に変化し、進歩してきました。医療の場で日常的に行われている超音波検査やコンピュータ断層撮影などの画像検査は患者に負担を少なくし、かつ正確で詳しい身体情報を得ることができるようになりました。また、内視鏡を使った手術も患者に負担が少ない、ありふれた治療として定着してきています。しかしながら、予防も治癒も不可能ではないがんで、毎年、多くの日本人が死亡しています。また高齢社会にあって大きな課題である認知症、特にアルツハイマー病はその原因も治療法もまだ十分に解明されていません。さらに、医学の進歩は、体外受精や「代理出産」、遺伝子治療や再生医療など法的にも倫理的にも未解決な医療も進められています。
 こうした医療の進歩のなかで「医療崩壊」という言葉に象徴されるように、都会でも農山村でも必要なとき必要な医療が提供されない、受けられなくなりつつあるという医療体制の問題が広がっています。とりわけ救急医療、小児科医療、産科医療がその機能を著しく低下し、日本人の生命を脅かすようにもなっています。
 また医療を支える経済的な問題も無視できません。人間の生命はなにものにも代えがたく重いと、高価な先端医療を受けることができるようになり、また社会の高齢化のなかで医療にかかる費用が高騰し、それを社会がどのように負担するかが問われています。こうしたなかで政府は、医療費抑制政策を打ち出し、患者には重い自己負担を強い、医療が受けにくくなりつつあります。日本の医療の根幹である国民皆保険の下での医療保険が崩れ、自由診療の大幅な導入によって生じる「医療格差」「医療差別」が拡がるおそれがあります。
 さらに戦後日本では、医学・医療の進歩の影で、絶えることのない医療事故、薬害などで命を落とし、障害に苦しむ人たちが数多く生まれてきました。
 今日、こうした多くの問題を抱えながら混沌としているわが国の医療の現状を改めて見つめ直すべき時期にあると考えます。医療を見つめ直し、改めようとするために、医学、疾患、検査、治療、法律、制度など日本の医療にかかわる歴史を振り返りながら最新の包括的な情報を提供することが本書のねらいです。
 本書は、医療の基礎的知識としての、細胞から個体、身体、精神から社会までの医学的な基礎知識、主な疾患の特徴、検査と治療の現状、医療制度と医療体制、医療にかかわるさまざまな専門職や医療関係の法律、疾患の予防や日本人の疾病構造などできるだけ多分野にわたる―すべてを網羅することは不可能ですが―情報を提供したつもりです。
 こうした医学・医療に関する多分野の専門的な最新の情報を本という形で提供する際、それぞれの分野の専門家が分担してテーマごとに書き、それを編集、監修して出版することが多いのが実情です。こうした方法では、確かに個々のテーマの情報は正確かもしれませんが、テーマ間での内容、レベル、執筆者の考え方にズレが生じることが往々にしてあり、「知識の寄せ集め情報誌」になりかねません。そうした欠点を少なくするために、また一貫したレベルと考え方で統一した情報を提供するために、あえて筆者が一人で書きました。
 ここで筆者と医学・医療とのかかわりについて略歴を交えて述べてみます。筆者は、1971年京都大学医学部を卒業し、同年に始まった研修医制度のもと、兵庫県尼崎病院で2年間外科系を研修しました。将来、いわゆる途上国で働く医師としてプライマリーケアを目指していたので外科系の研修を選択しました。この研修中に初めて患者を持ち、医師としての責任の重さを実感しました。その後、1年間の大阪商船三井船舶の外国航路船医の生活を送ったのち、大学の先輩の紹介で当時の厚生省(現:厚生労働省)に入り、併行して国立公衆衛生院(現:国立保健医療科学院)で公衆衛生学を学びました。厚生省では日本の中央官庁の組織と官僚の世界を知り、医療技官の実務のなかで医療保険制度を知りました。公衆衛生院では、予防医学や疫学や公害について多くのことを学びました。またこの間、岩手県宮古保健所で実地研修の機会があり、母子保健などを実践で学ぶことができました。その後、京都に戻り、京都府保健予防課の精神保健の技官として多くの精神障害者とその家族を知り、また精神科病院など精神医療の現状を詳しく知ることになりました。この頃、高齢者医療が社会問題化しているにもかかわらず、医学・医療面での取り組みが乏しいことを不思議に思い、老年医学を独学で始めました。この過程で、高齢者の精神面の問題と精神疾患に対する関心が強くなり、多くの専門書を読み漁りました。特に日本のユング派精神分析の第一人者であった河合隼雄氏から多くの影響を受けました。高齢者の精神疾患については、精神医療の研修を京都府立洛南病院で行うなかで認知症高齢者に初めて会い、また誘われて堀川病院の早川一光氏の「ぼけ相談」を手伝い、認知症の人とその家族の置かれている現実を知りました。これがきっかけで「呆け老人をかかえる家族の会(現:認知症の人と家族の会)」を1980年に結成させました。堀川病院に移ってからは、特に在宅医療について多くのことを学びました。その後の福島県の太田綜合病院では民間の大規模病院のあり様を知り、郡山市にある化学工場の産業医を、また帝京安積高等学校の校医を勤めました。さらに京都府の弥栄町国民健康保険病院(現:京丹後市立弥栄病院)では院長として病院経営・管理と地域医療の日々を送りました。その後、京都南病院老人保健施設に移り、医療と介護の融合の難しさも知りつつ、2000年に導入された介護保険制度下では多くの介護専門職を知り、その介護現場を垣間見ることも多くなりました。
 こうした経歴の筆者ですが、医学・医療の分野で101のテーマで書くことは困難な作業であり、間違った情報を提供することになることを危惧しました。このため、いくつかの医学書、医療に関する代表的な本を参考にすると同時に、私たちの生活に切り離せなくなったインターネットを通して最新で正確な情報も得るように努め、不確かな情報については複数の情報源から確認する作業を繰り返しました。
 本書は当初、介護福祉士、社会福祉士、精神保健福祉士を目指す学生を念頭に置いていました。しかし、本書を書き始めると、その意図は薄らぎ、広く医療専門職の学生、看護師など医師以外の医療専門職、介護専門職の学生と実務中の介護専門職、さらには医学・医療に関心のある一般の方々にも読まれることを期待する書とすることに軌道修正しました。こうした人たちに少しでも役に立つものとなれば、筆者の喜びとするところです。
 年々、変化する医学、医療、医療制度などについて最新で正確さを期することは不可能かもしれません。読者のみなさんが、本書のなかで気づいた情報がありましたら、速やかに筆者にご一報いただければ幸いです。

2008年早春 京都・桂にて
三宅貴夫

 

三宅貴夫著「キーワードブック 医療と医学」を
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社団法人認知症の人と家族の会
  副代表理事・神奈川県支部代表
NPO法人全国認知症グループホーム協会顧問
川崎幸クリニック院長

杉山 孝博

 平均寿命が男性79.0歳、女性85.8歳(2006年)、65歳以上の高齢者人口が20%を超えた今日の日本において、とりわけ高齢者医療・介護はきわめて重要な問題となっています。要介護高齢者と関わる職種の種類と関係者の数は、以前と比べて非常に多くなってきました。疾病や障害を持つ人々を対象としてサービスを提供するのが医療や介護の専門職であり、多職種の連携と協力によるサービス提供が今日の医療・介護の大きな特徴であるといえます。そのためには、「医学と医療」の基本的な知識を持つことが不可欠で、必要な知識を簡潔にまとめた本書のような書物が望まれてきました。
 本書の特徴は、「医学と医療」という非常に幅広い領域を、「医学の基礎−人体の構造と機能−」「疾患」「医療」「疾患の予防と動向」「医療制度」の5つの分野に分けて、101のキーワードを選び出し、分かりやすく解説されていることです。
 読者として想定される医療専門職、介護専門職、さらに医学・医療に関心のある人々にとって、知っておくべき知識や、仕事をしていく中で必要となる知識が、キーワード毎、見開き2ページに簡潔にまとめられています。多忙な勉学や仕事の合間にでも本書をひもとけば、必要な情報が速やかに得られると思います。
 本書のもう一つの特徴は、38のコラムと13の事例が要所要所に配置されていることです。
 誰もが興味をもつようなテーマを、新聞の健康欄を読むように気楽に読めるような配慮が行き届いています。心憎いかぎりです。
 著者である三宅医師は、自ら前書きに書いているように、象牙の塔の中ではなく地域の第一線の医療現場で診療活動を続けてきました。しかも、「呆け老人をかかえる家族の会(現:認知症の人と家族の会)」の結成に関わるなど、疾患・障害を持つ人と家族、およびそれを支える様々な人々ともに、医療福祉活動に率先して関わってきました。このような経歴から、医療・介護の現場で本当に必要な知識は何であるかをしっかり把握して本書を執筆したのです。しかも、「一貫したレベルと考え方で統一した情報を提供するために、あえて筆者が一人で」書き上げたのです。並大抵の情熱や努力だけでできることではありません。
 筆者(杉山)はヘルパー1級、2級の養成講座やフォローアップ研修の講師をつとめていますが、本書がヘルパー養成研修の準教科書として採用されても良いのではないかと思っています。介護専門職としてしっかりした医学知識が必要不可欠と考えるからです。
 本書が多くの医療・介護の関係者に活用されて、サービスの質の向上に大きく寄与することを確信しています。

 

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