| 翻訳にあたって
序文
はじめに
序論
目的と問題提起
本書の構成
どうやって自閉症を理解するか?
第1部
自閉症と子どもの発達
問題領域1 社会的相互交渉
問題領域2 コミュニケーションと対話
問題領域3 心的想像と想像力
毎日のルーチン(スクリプト)が納められた「心の図書室」
意図をもった他者の行動の理解
遊びの特徴と様式
遊びとは何か?
遊びの初期形態
自閉症児における遊びの観察
第2部
遊び場面の設定
遊びの方略の理論的根拠
遊び道具の選択
舞台設定
遊び場面の具体例
注意、期待、関心事の共有
遊びのテーマ
模倣と鏡映行動
視覚的スクリプトを用いた遊び
視覚的スクリプトとしてのソーシャル・ストーリー
順番に遊ぶ
集団遊び
遊び活動の二重性
遊びの可能性――要約と結論
付録
遊び活動の行動観察表
遊び・コミュニケーション・社会的相互交渉
:初期発達の特徴(0か月〜48か月)
用語集
参考文献
索引
訳者あとがき |
序文
今日、自閉症の困難やニーズに関して多くの文献や研究がみられるようになっています。診断に関する知識が深まり、理論的な理解や対応の可能性は着実に高まっていますが、自閉症と遊びを扱った文献はほとんどみられません。そのため、自閉症児における遊びのさまざまな機能や性質、そして遊びのスキルを高める最善の方法については、未だに情報を手に入れることが困難な状態です。
遊びの中で相手と関わり合う能力や関わり合いへの興味を欠いていることが、自閉症の特徴的な徴候や困難であると指摘されています。また、玩具やその他の物を使っての遊びは、非目的的で独特であるといわれています。他の子どもと関わったり一緒に遊んだりすることにあまり興味を示さず、中には同一性を保持する活動に数時間を費やす場合もあるため、いろいろな活動へ呼び込むことが困難になります。
こうしたことから、自閉症児は遊びを学ぶことができるのか? 自閉症児は遊び活動への参加を楽しむように動機づけられるのか? 遊びは自閉症児に対して新しい発達の道筋を切り拓くことができるのか?
と言う人もいます。まさにそれが本書の重要な中心テーマであり、20年以上にわたって自らのキャリアをこの障害をもつ子どもとの仕事に捧げてきた経験豊富で有能な二人の専門家によって書かれています。
本書では、理論的理解と教育的対応の関連について論理的な説明がおこなわれています。そして、自閉症児と比較して定型発達児の遊びの発達を説明するための分かりやすい理論的な枠組が示され、それは自閉症に関する知識や理解に沿ったものになっています。この理論的な枠組は、教育というわくわくさせる領域における対応方法を説明する理想的な土台として役立ちます。
本書は、専門家や親が遊び活動を計画する際に、すぐにでも適用できる焦点化された細やかなアイディアを提供している点でとくに価値があり、そこに素晴らしい写真の数々が花を添えています。また、重度の自閉症児であっても遊び活動から利益を享受することができると記されています。
本棚に『自閉症と遊び』を加えることにしたあなたは、本書からアイディアを得ることでしょう。私は、筆者らが関わった何人かの自閉症児を見てきましたが、構造化されなおかつ分かりやすく設定された場面において、遊び方を学んでいる様子を目の当たりにして気持ちが高揚したことを覚えています。しかし、私にとってさらに重要であったことは、いろいろな遊び活動に動機づけられて積極的に関わっていくということだけではなく、本当にそれを楽しんでいる自閉症児の姿を目にしたということでした。
自閉症児に対する遊び活動の創造的かつ実践的なアイディアを探している専門家や保護者にとって、本書は必読書であり貴重なヒントの宝庫だといえます。
デンマーク自閉症情報訓練センター所長
デメトリウス・ハラコポス博士
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