杉山孝博Dr.の「認知症の理解と援助」


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杉山孝博Dr.の「認知症の理解と援助」

杉山孝博 著
定価 2310円(本体価格 2200円)
ISBN978-4-902244-86-1 C0036

●全国縦断! 5時間ぶっとおし講座

●認知症の知識から対応の仕方、最近の動きまでトータルに理解できる!

「認知症をよく理解するための8大法則・1原則」「家族のたどる四つの心理的ステップ」など、家族から学び、家族に教える熱血医師の講演録で、誰にでもわかりやすい!

●もくじ  

まえがき―高見国生
第 I 部・認知症の理解と援助
 はじめに
 1.高齢者医療と認知症
  (1)長寿化と高齢者の増加
  (2)子育て終了後の期間が長くなった
  (3)元気に活動できる高齢者の増加
  (4)ひとり世帯・夫婦ふたり世帯の増加
  (5)年間死亡者数の急増
  (6)認知症高齢者介護の普遍化
  (7)要介護認定者における認知症高齢者の将来推計
2.ぼけても心は生きている
  (1)「家族を通じてぼけの人の思いを知る調査」より
  (2)家族の受け止め
  (3)家族の看取り
3.認知症の特徴
  (1)知的障害と身体行動の障害の程度に格差が大きい
    と介護が大変
  (2)二次的要因によって症状が大きく変わる
  (3)介護初期に大きな介護上の混乱が生じる
  (4)介護者と周囲との認識に大きなギャップ
  (5)認知症の方のひとり暮らしは非常に難しい
  (6)介護に余裕ができると認知症の人の状態は必ず
    よくなる
4.家族のたどる四つの心理的ステップ
  (1)第1ステップ……とまどい・否定
  (2)第2ステップ……混乱・怒り・拒絶
  (3)第3ステップ……割り切り、またはあきらめ
  (4)第4ステップ……受容
  (5)例外なくたどる道
  (6)四つのステップの特徴
 5.「認知症をよく理解するための8大法則・1原則」
  (1)認知症とは
  (2)第1法則……記憶障害に関する法則
  (3)第2法則……症状の出現強度に関する法則
  (4)第3法則……自己有利の法則
  (5)第4法則……まだら症状の法則
  (6)第5法則……感情残像の法則
  (7)第6法則……こだわりの法則
  (8)第7法則……認知症症状の了解可能性に関する法則
  (9)第8法則……衰弱の進行に関する法則
  (10)一つの原則……介護に関する原則
 6.対応の難しい主な症状と対策
  (1)受診拒否……スムーズに早期受診するためのコツ
  (2)窃盗
  (3)薬に対するこだわり
  (4)火の不始末
 7.徘徊とその対応
  (1)徘回とは何か
  (2)対応の仕方
  (3)そのときの家族の気持ち
  (4)徘徊ネットワーク(徘徊老人SOSシステム)の構築  
  8.若年期認知症について
  (1)「家族の会」の取り組み
  (2)家族の声
  (3)若年期認知症の診断
 9.認知症の治療と予後、予防
  (1)認知症の原因
  (2)大切な早期診断、早期治療
  (3)認知症の予防
 10.認知症高齢者グループホームをめぐる動き
  (1)認知症高齢者グループホームとは
  (2)急速に増えている認知症高齢者グループホーム
  (3)質の確保、質の評価に必要性と推進の動き
 11.特別養護老人ホームにおける終末期医療・介護
  (1)特別養護老人ホームにおける終末期医療・介護に
    関する調査研究
  (2)特養内死亡の比率の高い施設の特性
  (3)特養における終末期ケアの今後
  12.グループホームにおけるターミナルケアの可能性
  (1)グループホームにおけるターミナルケアに関する調査
  (2)グループホームで看取りをするための条件
  (3)グループホームに関する介護報酬改定
 13.小規模多機能サービス居宅介護
 14.認知症の人と家族の会
第 II 部・質問に答えて
 ・出しても出しても食べ、日々太って困る
 ・病院などが旧態依然とした対応だが、どうしたらいいのか
 ・別居している息子が母親の症状を信じない
 ・食べなくなったときはどう取り組めばよいのか
 ・よだれが出るのを少なくする方法は?
 ・家族の心理的ステップは、どれくらいの期間でステップアップできるか
 ・世界的な長寿時代なのに、いつまでも六五歳を起点に
  するのはどうか
 ・髄液を抜く手術をしたが、主治医はもう一度手術をすると
あとがき  206
資料 講演要綱

まえがき

社団法人認知症の人と家族の会 代表理事 高見国生

 二〇〇六年三月、熊本会場を皮切りに、杉山孝博Dr.は全国を駆けめぐりはじめた。
「家族の会」各支部が主に専門職を対象にして開催する「杉山Dr.の『認知症の理解と援助』講座」(以下「杉山講座」)である。午前一〇時から午後四時まで、彼が一人ぶっ通しで講義する。
 以来、月一回以上のペースで、参加者に熱く語りつづけている。ときには山形県で講義して、翌日には岡山県でという離れ業もやってのける。
 しかも彼は、脳外科や心臓血管外科も擁する大規模なクリニックの院長として、平日は院内で診療にあたり、常時約一〇〇名の在宅療養患者の訪問診療をし、厚生労働省の各種委員も引き受け、「家族の会」以外からの講演要請にも応えて各地を飛び回っている。
 ただでさえ超多忙な杉山Dr.が、なぜここまで「家族の会」主催の「杉山講座」に情熱を注ぐのか。
それは第一に、全国の専門職のみなさんに、認知症の知識から対応の仕方、最近の動きまでをトータルに伝えたいという思いである。
 第二は、専門職のみなさんが介護家族のことに思いを馳せてほしいという思いである。
第三には、「家族の会」各支部が専門職のみなさんとつながりを持ち、力を借り、支部活動をさらに発展させてほしいという思いである。

 杉山Dr.はそのために、一九八一年以来関わってきた、認知症についての経験と知識のすべてを傾注して、過酷なスケジュールをものともせず語り続けているのである。
杉山Dr.は、私より四歳若い一九四七年生まれ。東大医学部卒の秀才であるが、いわゆる「上昇志向」のタイプではなく、地域の第一線で患者・家族とともに生きようとするタイプである。それは、医学生時代からサリドマイドやスモンなど薬害の被害者救済に関わってきたことや、東大附属病院での内科研修後ただちに川崎幸病院に勤務し地域医療、在宅医療に取り組み続けている姿勢となって表れている。
 その杉山Dr.が認知症に関わるきっかけになったのは、八一年はじめの京都・堀川病院の早川一光医師(「家族の会」顧問)からの一本の電話であった。
 その前年に京都で結成された「家族の会」(当時は「呆け老人をかかえる家族の会」)の神奈川県支部を作る手伝いをしてくれないか、という内容であった。
 当時は認知症に対する行政の対策は皆無、社会的にも偏見や差別がつよく、家族は塗炭の苦しみの中で介護を続けていた時代である。
 患者・家族とともに生きることが信条の杉山Dr.がこのことに関わらないわけがなかった。その時から、彼と私は「家族の会」活動をともにすすめる「同志」となった。

 私は常々、「家族から学び、家族に教えるのがほんとうの専門職」と言っているのだが、杉山Dr.はまさにこのとおりの医師である。
 そのことは、彼が生み出した「家族のたどる四つの心理的ステップ」および「認知症をよく理解するための8大法則・1原則」に端的に表れている。
いずれも、多くの家族と患者に接し、しかも深くていねいに関わって、その人たちから学ぶという姿勢がなければ生み出し得ない内容である。しかも、その結果が今度は逆に、家族を励まし、よりよい介護の指針となっている。
 これこそ真の専門職、と思うゆえんである。
  話は戻るが、「杉山講座」に参加した方の評価は圧倒的に高い。
 いずれの会場の感想からも、「目からうろこであった」「友人も連れてきたらよかった」「明日からの仕事への勇気が出た」「これまでの疑問が氷解した」などの言葉が聞かれる。
 本書は、この「杉山講座」を完全収録したものである。
 これまでに参加した方も、そうでない方も、もちろん専門職以外の方もぜひお読みいただきたい。
 そして、私たちが願う「ぼけても安心して暮らせる社会」の実現が一日も早いことを願っている。

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