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推薦のことば 長谷川和夫
日本語版刊行にあたって ドーン・ブルッカー
はじめに ドーン・ブルッカー
Part1 パーソン・センタード・ケアが意味すること
第1章 パーソン・センタード・ケアとは何か?
パーソン・センタード・ケアになくてはならない要素:VIPS /パーソン・センタード・ケアの起源/トム・キットウッドの論点/21世紀のパーソン・センタード・ケア/パーソン・センタード・ケアを実践するために
第2章 人々の価値を認める(V)
ケア提供者のための重要な指標:人々の価値を認める/価値を認めることの障壁となるもの/最も弱い立場の人たちの価値を認める/人々の価値を認めることを実践する
第3章 個人の独自性を尊重したアプローチ(I)
ケア提供者のための重要な指標:個別の独自性を尊重したアプローチ/個別ケアプランを立てることがパーソン・センタード・ケアでしょうか?/個人の独自性を尊重したパーソン・センタードなアプローチ/個人の独自性を尊重したケアを実践する
第4章 その人の視点に立つ(P)
ケア提供者のための重要な指標 :その人の視点に立つ/どうすれば、認知症をもつ人の視点を理解できるでしょうか?/その人の視点に立ってケアを実践する
第5章 相互に支え合う社会的環境(S)
ケア提供者のための重要な指標:相互に支え合う社会的環境/“ 悪性の社会心理”と“ パーソンフッドを維持する積極的な働きかけ” /心理的ニーズ/パーソンフッドを支える社会的環境を実現する
第6章 “VIPS”をあなたの施設で実践する
Part2 VIPSフレームワークをつかって
VIPSフレームワーク:認知症をもつ人へのパーソン・センタード・ケア
VIPS フレームワークをつかって
“VIPS”のふり返りのポイントと方法
V: 人々の価値を認める
I: 個人の独自性を尊重したアプローチ
P: その人の視点に立つ
S: 相互に支え合う社会的環境
付録:VIPSフレームワークシート
資料:認知症ケアマッピング(DCM)とは
参考文献
さくいん
監修者のことば 水野 裕
翻訳者あとがき
翻訳協力者あとがき
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推薦のことば
ドーン・ブルッカー著『VIPS ですすめるパーソン・センタード・ケア』が刊行されたことは、認知症ケアの主流となった理念の実践的立場からの理解を深める上で、非常にすばらしいことだと思います。
ご存じのように、トム・キットウッドの提唱した“パーソン・センタード・ケア”の定義は、必ずしも誰にでもわかるような明確なものとは言い難いところがあります。これを介護現場で働くケアワーカーや関係者の方にわかりやすく説明しているのが本書です。
第1に、ケアにあたってその人の存在自体に価値(Value)を認めること、第2に、独自性(Individuality)を尊重すること、第3に、その人の視点(Perspective)から世界をみること、第4に、認知症の人を支える社会的環境(Social Environment)を提供すること、この4点の頭文字をとって、パーソン・センタード・ケアの4要素(VIPS)として掲げて説明しています。
著者のブルッカー教授は、現在は英国・ウースター大学の認知症学部の教授をつとめていますが、元はブラッドフォード大学でトム・キットウッド教授の率いる認知症ケア研究グループに属していました。現在も英国における認知症ケアの活発な実践研究の第一人者として活躍されています。
VIPS の4要素は、実は1つの要素がお互いの要素と表裏一体の関係にあって、1つが満たされれば必然的に他の3つが導かれるようなきずなで結ばれているように思います。それぞれの要素を理解することで、そして実践にうつすことで認知症ケアの質は格段に優れたものになり、何よりも認知症当事者にとっては福音になるでしょう。
VIPS の実践にあたって、施設の運営においてその理念を文書に示すこと、ご本人の想い・内的体験あるいはサービス環境を整えること、などの具体的な提案がなされ、わかりやすいことが本書の特徴ともいえましょう。
また、パーソン・センタード・ケアにおいては、人のあらゆる行動には意味があるという前提があります。そこでケアの現場で常に課題になるBPSD が原著では“Challenging Behaviour”と表現されています。認知症の人が暮らしの上で適応しようとする時に表現せざるをえなくなった心理・行動症状に取り組む介護職の姿勢を日本語で訳すと、挑戦的行動といっているわけです。しかし、挑戦という真剣さを表す言葉は耳慣れず、誤解を招くとして訳出されたのは“ ”をつけて“問題行動”とされています。訳者の慎重さがうかがわれますが、ここは読者の理解を求めたいところのように思いました。
本文の中で認知症の当事者として著名なクリスティーン・ブライデンさんの著書『私は私になっていく』からの引用があって、本書の内容を豊かに、そして奥の深い内容にしていることも特記したいと思います。
ケアの日常業務の中で、ふとしたことから意識しないでオールドカルチャー的な介護者の視点でケアを進めがちな私たちの姿勢をただすところも指摘されていて、介護をうける利用者の尊厳性を常に中心におく理念を教えています。認知症ケアの理念、パーソン・センタード・ケアをケアの現場に実践する上での最高のガイドブックといってよいでしょう。
訳出された村田康子、鈴木みずえ、中村裕子、内田達二さんらは、平易な表現にご苦労されたことが感じとられます。また翻訳の監修者である水野裕博士は認知症介護研究・研修大府センターの元研究部長をつとめられた老年精神科医であり、ブラッドフォード大学で認知症ケアマッピングの研修をうけた本領域の第一人者です。
ぜひ、本書が認知症ケアに関わるケア職、医療職、あるいは学生、関係者にひろく読まれることをおすすめする次第です。
認知症介護研究・研修東京センター名誉センター長
聖マリアンナ医科大学名誉教授
長谷川和夫
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