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まえがき
第1章 みんなに知ってもらいたいこと
―きょうだいの作文
第2章 重症児の家族
1 揺れる両親
2 重症児の自律
3 きょうだいの思い
4 こころの安心の貯金通帳
5 きょうだいのこころのサイン
第3章 交流キャンプ
1 こころを開く旅―交流キャンプ同行記
2 きょうだいの気持ちに寄り添う支援を
3 きょうだいみたいな仲間ができた
―キャンプ参加者の作文
4 子どものホンネにふれて―親の集い
第4章 いちばん豊かな者たちとともに
―アンケートから
1 アンケートの背景
2 きょうだいへのアンケート
3 両親へのアンケート
4 アンケートを終えて
あとがき
◆◆◆関連記事◆◆◆
・産經新聞 2010年5月11日
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すいせん
重症児のきょうだいは、悩みが深い。母への複雑な気持ち、障害のあるきょうだいとの間合い、友だちとの違和感。その悩みは深められ、やがて自分のなかに人間のこころを育てていく。その自分の気持ちを率直な表現で語る――。
高谷 清[第一びわこ学園前園長]
まえがき
重度の知的障害と肢体不自由を合わせもつ障害児者を“重症心身障害児者”と呼んでいます。この本では重症児と呼ぶことにします。食事をすることや、洋服の脱ぎ着やトイレのことが、大人になっても一人ではできません。ほとんどは生まれた時から障害をもち、病気にもなりやすいため、お母さんの毎日は大変です。
重症児をもつ家庭ではすべてのことが重症児を中心に進められていく傾向にあります。そのため、重症児の兄弟姉妹(以後、きょうだい)は、障害のあるきょうだいへの気兼ね、親がかまってくれないことによる寂しさ・疎外感、親の関心を引くための問題行動、障害児をきょうだいにもっていることによるいじめなど、様々な悩みがあり、きょうだいに対する支援が求められています。
社会福祉法人全国重症心身障害児(者)を守る会では、二〇〇六年度から四年にわたって、独立行政法人福祉医療機構(子育て支援基金)の助成を受け、“重症心身障害児(者)の兄弟姉妹を支援する事業”が全国各ブロックで実施されました。
これを受けて、近畿ブロック(近畿地方の六府県と福井県の七支部で構成)では、三つの事業が実施されました。ひとつ目は、二〇〇六年一一月八日に神戸市教育会館にて『きょうだいシンポジウムと講演会』を、ふたつ目は、二〇〇八年八月二五・二六日に福井県敦賀市にて『きょうだい交流キャンプ』を、三つ目は、二〇〇八年一一月九日に西宮市砂子療育園にて『きょうだいについて語る親の集い』です。これとは別に、近畿ブロック研修会として、二〇〇九年一月三一日『ねえー聞いて..私達の声』と題して『きょうだいシンポジウム(作文発表会)と講演会』を開き、きょうだい達の声を聞く機会を持ちました。
きょうだい達の作文と講演は聴衆に感動を与え、会場には感極まってすすり泣く人も見られました。“この子たちの声を多くの人たちに伝えたい”“後世に残したい”という強い思いから、その場にいあわせた有志で、きょうだい達の作文を中心に本をつくろうということになったのです。きょうだい達の思いが表現されたテーマ「ねえー聞いて……私達の声」を本のサブタイトルにいただくことにしました。また、『きょうだい交流キャンプ』や『きょうだいについて語る親の集い』での出来事も本の内容に加えることと、この際新たに、両親やきょうだいへのアンケート調査を行い、その内容も伝えることにしようと話し合いました。
この本を読むことによって、これから重症児を育てていこうとしておられるご両親には、きょうだいに対する配慮の大切さを感じていただきたいと思います。また、きょうだい達には、悩んでいるのは自分だけではないことを知ってほしいです。そのことを知るために、きょうだいの出会いの場は大切です。そして、学校の先生や友達にもこの本を読んでもらうことで、周囲の人々が、障害児者への理解を深める機会にしていただけたら良いと思います。
また、ご両親はわが子の障害を初めて知ったときのことをきょうだいに話し、今は大人になったきょうだい達は、自分がどのような思いで成長してきたかを両親に話して、新たな親子関係を築く機会にしていただければ幸いです。
最後に、重症児の療育や介護に携わる専門職の方々に、重症児についてだけでなく、きょうだい達への配慮についても忘れず、ご両親へのアドバイスをお願いしたいと思う次第です。
重い障害をもった子どもたちは言葉を話すことができません。自分の気持ちや思っていることを表現するのは「あー」とか「うー」という声を出すか、または、その物を目で追う仕草をするのみです。そのシグナルを一番先に理解できるのは両親であり、ともに育つきょうだいなのです。きょうだい達は、重度な障害をもった人たちのことを、自分のこととして考えることができます。きょうだい達は障害児の一番の味方になれる健常者です。この本が、きょうだい達への応援歌となり、この本によって、重症児の家族への理解者が増えてほしいと願っています。
二〇一〇年四月吉日
森田 弘和
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