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はじめに\オトコの介護を生きるあなたへ
応援メッセージ
真人間の世界へ ウェルカム! 樋口恵子
「男こそ『名介護者』になれる」
〜男性介護ネットへの期待 高見国生
PART1〈困惑編〉
どこまでも続く、見えない明日
とまどい、迷い、そして苦労する
一歩間違えれば自分も…
閉ざす、拒む、孤立する
PART2〈希望編〉
一人じゃない。苦しいことばかりじゃない
「話す」という妙薬
やりたいから、うれしい
さまざまな人とともに、乗り切っていく
最後まで、たくさんの人の手を借りながら
PART3〈行動編〉
男性介護を支えるグループが、動き始めている
荒川区男性介護者の会『オヤジの会』【東京都】
シルバーバックの会【長野県】
認知症の人と家族の会・男性介護者のつどい【京都府】
NPO法人 スマイルウェイ【兵庫県】
PART4 介護で孤立しないネットワークづくり
あとがき
男性介護ネット資料編
男性介護ネットとは?
「男性介護者と支援者の全国ネットワーク」会則
「男性介護者と支援者の全国ネットワーク」結成宣言
◆◆◆関連記事紹介◆◆◆
・読売新聞 2010年4月14日
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はじめに オトコの介護を生きるあなたへ
「お前を嫁に、もらう前に、言っておきたい、ことがある」
あの有名な、さだまさしの「関白宣言」です。
あの歌がヒットしたころ、介護はまだ女性の仕事でした。
関白宣言の歌にあるように、「おれより先に、寝てはいけない。おれより先に、起きてもいけない」という言葉を従順に守ってくれるお嫁さんが、お舅さんやお姑さんを介護してくれていました。
しかし、もうそんな時代はとっくに終わっているのだということを、きっと「オトコの介護」のまっただ中を生きているあなたなら、わかっているのでしょうね。
介護者の三人に一人が、男性。
二〇〇七年の厚生労働省の調査で、このことがわかりました。
オトコが自分の親、妻、子どもを介護する時代が、もうやってきています。
いま、日本には一〇〇万人の男性介護者がいるといわれています。
これまでの「男性介護」は、ある程度の年収があり、週末ごとにふるさとを行ったり来たりすることのできる男性が、親孝行として取り組んでいる、というイメージが強かったように思います。
しかし、介護者の三人に一人ともなると、様相はがらりと変わります。
年収も十分でなく、自分が生きることで精一杯の男性たちですら、介護の世界に否応なく引き込まれる。
そんな現実が広がっているのが、今という時代でしょう。
男性が、介護を担うということ。
これは予想以上に、過酷です。
まず、これまで「介護はオンナや嫁がするもの」と思われてきた中で、いきなり男の自分が介護をする側に回るという、とまどいと驚愕。
いつか誰かの介護をしなくてはならない、とうすうす感じていた女性に比べて、男性の「青天の霹靂」度は、桁外れに大きいものです。
慣れない家事をこなすのも大変でしょう。うまくいかない介護に、ひとり悶々と悩む方もいることでしょう。明日の見えない今日の中で、堪え難きを耐えるオトコの背中が、思い浮かびます。
しかし、男性介護者のみなさん、私たちは、あえてこう言いたい。
胸を張りましょう。
なぜなら、私たち男性介護者は、介護の新しい時代を作って行く先駆者、パイオニアなのですから。
これまでの女性介護は、稼ぎ手が別にいる中で行われていたものでした。
つまり、夫が外で働き、妻が家で介護をする。
家事も介護もしなければならない妻の負担は、大変なものだったでしょうが、一家の大黒柱がいたという点において、生活資金が底をつくという不安からは、いくらか免れていたと思います。
しかし、四〇代、五〇代、六〇代の働き盛りの男性が、突然、介護の道を歩まねばならなくなったとき、それは「職を失う」ことを意味せざるを得ません。最初は、介護と仕事を両立できるかもしれない。しかし、やがて介護のために残業も出張もできなくなり、それがもとで何となく会社にいづらくなり、結局、辞職を余儀なくされます。
男性介護者が独身だった場合、事態はもっと深刻になります。介護しているために、結婚ができないといったケースがあちこちでみられます。
ただし、これらを単に「悲劇的な話」として片づけるべきではありません。
これらはすべて、男性が介護に携わることで初めて見えてきた「介護の社会化を進めるうえで、決して見逃してはならないポイント」なのです。
仕事との両立をどうするか、家事参加はいかにすべきか、結婚や育児とどう両立するか、福祉サービスはどのように充実していくべきか…。これらの観点がそろってこそ、介護の社会化は達成できます。そういう意味で、男性介護者は、これからの介護の視点、未来の介護の姿というものを、身をもって導き出そうとしているのです。
オトコの介護は、オンナの介護の延長ではない。
むしろ、新しい介護のステージなのです。
この本は、二〇〇九年に産声を上げた男性介護者と支援者の全国ネットワーク(男性介護ネット)の発足記念として、作りました。
しかし、ただの発足記念誌にするには、あまりにも社会への広がりがない。
そこで、男性介護者へのメッセージを込めた、まだ見ぬあなたへの「エール」となる一冊を出そうと、決めました。
後半には、全国各地で活動をしている、男性介護者のグループも紹介しています。
ともすれば孤独に陥りがちだった男性介護者たちが、これではいけない、介護の世界を良くするためにも、自分が元気にならなければと、勇気を出して扉をたたいています。
男性介護をめぐる問題は、男性本人だけのものにとどまりません。
いまだに介護に専念する女性介護者を前提とした施策をつくる国や自治体の行政、介護者の三人に一
人が男性なのに、男性介護者の立場が視野に入っていないさまざまな制度やサービス。
男性介護者が声を挙げなければならないときに、来ています。
そして、男性介護者たちの声は、「家族が家族の介護で人生を狂わせる悲劇」を食い止める防波堤になり得ます。
年老いた夫が年老いた妻を看る「老老介護」、高齢の父が子を看る「子の介護」、働き盛りの息子が親を看る「息子の介護」、独身の息子が親を看る「シングル介護」。それぞれに介護の形も苦労も違います。独身の子が親を看る介護については、すでに「娘」たちにも降りかかっています。独身で仕事をもって活躍しているキャリアウーマンにとって、独身男性介護者の苦しみは、将来自分が抱える苦しみを映し出した鏡ではないでしょうか。
家族の中だけで介護が成り立つ時代は、終わりました。
それは、女性は家の中、男性は家の外、親子三世代の同居が当たり前だった時代のことです。家族の形態は、もうずいぶん前から、様変わりしています。介護は家族に任せる、ではなく、介護する家族を支える、という視点が必要です。
つながりませんか。
話し合いませんか。
そして、新しい社会を切り拓いていきませんか。
介護は苦しいだけではない。そのやりがい、楽しさ、意義深さを語り始めている男性介護者もたくさんいます。
仲間は大勢います。
あなたは、決して独りではありません。
この本が、いままさに男性介護をしているあなたと、その周囲であなたを心配そうに見守っている家族、近所の方、親戚の方々の力になることを、願ってやみません。
新しい介護社会の扉を開く
〜男性介護者と支援者の全国ネットワーク
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