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はじめに:医療的ケアと非医療職
1.医療的ケアって何?
1 「医療的ケア」ということばの誕生
2 義務教育の義務
3 「医療的ケア」の公式デビュー
4 地域生活での医療的ケア
5 広義と狭義の医療的ケアと今後の指標
2.医療的ケアの必要な子どもたちの現状
―誰がどこでケアしているか
1 超重症児とは
2 超重症児の推定発生率
3 気管切開児、人工呼吸器装着児と介護支援
している人
4 いのちは平等、公的システムの保障を
―主な課題
3.体のしくみ:息をする、血は赤い
1 呼吸とは
2 呼吸の基本
3 呼吸器系の構造
4 換気のしくみ(空気を吸うしくみ)
5 酸素を血液に取り込むしくみ
6 呼吸障害
4.体のしくみ:のみこむ、むせる、
うんちする、おしっこする
1 はじめに
2 食べ物と空気が通る道筋
3 飲み込む
4 むせ返り症状
5 うんちする
6 おしっこする
5.体のしくみ・しょうがい:体が大きくなる、
うごく・体が硬くなる、まがる、うごかない
1 はじめに―動くことについて
2 「動き」を制御する仕組み
3 大きくなること
4 食べること
5 日々を楽しくすごす工夫を
6.しょうがい:姿勢と飲み込みのかかわり
1 飲み込みには呼吸が必要
2 呼吸器の解剖
3 飲み込みには姿勢が大事
4 食事姿勢について
5 飲み込みの障害にみられる症状
6 姿勢と飲み込みのかかわり…パート1
7 姿勢と飲み込みのかかわり…パート2
8 姿勢と飲み込みのかかわり…パート3
9 飲み込み障害が起こりやすい病気
10 呼吸を強くする体操
7.しょうがい:息がうまくできない
1 呼吸障害
2 症状は?
3 呼吸障害の種類
4 呼吸障害の原因と状態
8.医療的ケア:チューブ栄養は苦痛か?
1 チューブ栄養=経管栄養
2 経鼻胃管による栄養の注意点
―チューブの確認に命がかかっています
3 経鼻胃管による栄養の実際
4 経口訓練ダイエット?
5 経鼻胃管と胃ろう
6 チューブ栄養マニュアルの例
9.医療的ケア:胃ろうは切腹? 管理はむずかしいの?
1 胃ろうとは?
2 どんな場合に胃ろうが必要なのか
3 胃ろう造設(手術)の実際
4 胃食道逆流症(GERD)とは
5 胃ろうの構造、タイプ
6 経腸栄養剤について
7 胃ろうの取り扱い
8 胃ろうの交換
9 胃ろうの合併症
10 苦痛が少ない管理と対処法
10.医療的ケア:楽に呼吸するためには?
1 呼吸障害の対応の基本
2 姿勢管理
3 閉塞性換気障害
(空気の通り道が狭い)への対策
4 拘束性換気障害
(肺をうまく膨らませられない)への対策
5 分泌物の貯留・誤嚥
(たんがうまく出せない)への対応
6 気管切開について
7 その他の対応について
11.医療的ケア:首に穴をあけて大丈夫?
―気管切開(喉頭気管分離術)
1 気管切開とは
2 どのような子どもに気管切開が必要か
3 気管切開を受けるとできなくなること
4 気管カニューレ
5 気管吸引
6 カニューレ交換
7 感染予防と保湿
8 気管切開の合併症と対処法
9 誤嚥と喉頭気管分離術
10 呼吸状態の改善で苦痛も軽減
12.医療的ケア:障害の重い方の在宅支援
―介護の注意点と看護師との連携のあり方
1 はじめに
2 生活につなげる在宅支援
3 在宅介護の対象と時期の違いによる在宅
支援
4 在宅生活を支える介護支援と看護師との
連携のあり方
5 在宅の医療的ケアを支える社会資源
6 今日の在宅支援をとりまく状況
13.医療的ケア:主治医との連携
1 特別支援学校(養護学校)での医療的
ケア実施体制
2 在宅での家族以外のものによる吸引
3 主治医との連携
4 具体例(主治医の立場から)
資料 医療的ケア依頼書、児童生徒の病状に関する
主治医意見書、医療的ケアに関する主治医指
示書、保護者同意書、主治医同意書、別紙・
個別マニュアル(例)、同意書(例)
14.医療的ケア:介護職の心構え
1 はじめに
2 「医療的ケア」その前に
3 医療的ケア実施に向けて
4 身近な実践を着実に―まとめにかえて
15.障害が重くても地域で安心して暮らせるために
―医療的ケアをめぐる最近の動向と課題
1 介護職(非医療職)の医療的ケア実施に
新しい動き
2 医療的ケアの実施可能な範囲の違い
3 パーソナル・アシスタント=熟達した
専属介護職、医療職、
中核病院のバックアップのセットで
16.モデル人形を使った医療的ケア実技研修の
手引き―付録:DVD映像の説明と資料
鼻腔経管栄養の注入
胃ろう経管栄養の注入
口腔・鼻腔内吸引
気管内吸引
モデル人形(医ケア人形)活用の留意点
索引
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はじめに:医療的ケアと非医療職
病気や障害は21世紀にはいり、「キュア(治す)」から「ケア(病とのつきあい)」の時代になっています。自分のもった弱点を弱点とせず、いかに快適に自宅(地域)ですごすかが問われています。医療的ケアの一つひとつは、その人が快適に生きていくための道具・必需品であり、体の一部なのです。そして、その人の病態(病気の原因と症状の強弱が起こるメカニズム)は十人十色で、たとえば脳性まひという病名は同じであっても、まひの部位やまひの程度などはみんな異なります。二人として同じケアの人はいません。体の構造や二次的な障害(呼吸障害や栄養障害、側弯などの運動障害)の程度も異なります。
ケアの仕方もみんな異なります。たとえば吸引や栄養のチューブでは、鼻の穴はどちらが快適か、チューブの太さはどれくらいがいいか、どのように挿入すれば不快感が少ないか、栄養チューブの先の胃の変形はあるのか、ないのか、滴下スピードは快適か、量は、時間はどうなのか、みんな違っていて当然です。
症状は固定しているか、進行しているか、何歳か、基礎疾患がわかっているか(病気の原因が不明=今後の病状の変化が予測できない場合が結構多いのです)などなど、一人ひとり異なっています。医療的ケアもどの内容であっても、上記したようにやり方は、その人数分あります。この視点を抜きに医療的ケアは語れません。
いま、非医療職の医療的ケアをどのような形で実施可能にし、安全を保障するのかが問われています。単に医療行為への免許があるかないかではなくて、ケアを受ける一人ひとりがいかに快適に生きるか、そのための医療的ケアはどうあるべきか、が問われます。口腔、鼻腔、気管内吸引や経管栄養の基礎的な理解は、研修が保証されれば可能です。しかし、それ以上に問われるのは病院での処置のように、医療側の都合で画一化するのではなくて、一人ひとりのやり方で利用者の立場に立って、どんな配慮をした方法を実施するのか、さらにそのときの危機管理をしっかり支援者たち(非医療職、看護師、医師など)で討議しながら、それを本人・家族が認知・承認するのが、本来の医療的ケアなのです。医療的ケアこそ、当事者目線なくしては何もできません、それが出発点になります。
当面の具体的なやり方は、当事者からのケア実施依頼から始まり、非医療職である介護者との信頼関係のもとに、研修も含め主治医の責任で医療的ケアの指示を受けた看護師の指導下で行われるべきです。一つひとつの契約書類は面倒でもきちんとそろえる必要があります。けっして主治医の認知なしに、看護師の指導なしに、介護職だけで医療的ケアは行うべきではありません。
私たちNPO法人医療的ケアネットが行う研修も、あくまで医療的ケアの正しい理解と基本的な操作の実地研修であって、介護職が単独でケアをすることを許可する研修ではないことを強調しておきます。
なお、本書以外に医療職向け研修テキストと医療的ケアをとりまく課題をのべた姉妹本があります。日本小児神経学会社会活動委員会・松石豊次郎・北住映二・杉本健郎編『医療的ケア研修テキスト―重症児の教育・福祉、社会生活の援助のために』(クリエイツかもがわ発行)と、江川文誠・山田章弘・加藤洋子編著『ケアが街にやってきた―医療的ケアガイドブック』(同)の2冊です。医療的ケアをさらに深く学ぶことができます。本書とあわせてご活用ください。
2009年10月
NPO法人医療的ケアネット理事長 杉本健郎
●編者/杉本 健郎(すぎもと たてお)
1948年生まれ。1974年関西医科大学卒業。1980年同大学終了。同大学小児科、同大学男山病院小児科部長、同大学小児科助教授、2004年第二びわこ学園長、びわこ学園統括施設長を経て、2008年5月よりすぎもとボーン・クリニーク所長。NPO法人医療的ケアネット理事長。日本小児科学会倫理委員会委員、日本小児神経学会理事・社会活動委員会委員長兼事務局長。著書に『北欧・北米の社会保障システムと障害児医療』(かもがわ出版)、『子どもの脳死・移植』(クリエイツかもがわ)、編著に『医療的ケア研修テキスト』(同)など。
●NPO法人医療的ケアネット
ホームページ http://www.mcnet.or.jp/
●執筆者一覧(五十音順)・執筆章
荒木 敦
(関西医科大学附属滝井病院小児科)4
江川 文誠
(ソレイユ川崎・医療的ケアおーぷんねっとわーく*神奈川)1
北川末幾子
(大阪府立藤井寺支援学校)15
佐藤 正人
(財団法人田附興風会 北野病院小児外科)9・11
篠原 文浩
(社会福祉法人イエス団 重症心身障がい者通園事業B型シサム)14
白石 弘樹
(独立行政法人国立病院機構鈴鹿病院、理学療法士)6
杉本 健郎
(NPO法人医療的ケアネット理事長・すぎもとボーン・クリニーク)2・15
高田 哲
(神戸大学大学院保健学研究科)5
出島 直
(京都民医連中央病院小児科)8・13
三浦 清邦
(豊田市こども発達センター小児神経科)3・7・10
吉本弥よひ
(NPO法人レスピラール花の駅、NPO法人ナースネット研究会)12
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