ベト・ドクが教えてくれたもの
 ―分離手術成功20周年と平和へのメッセージ


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ベト・ドクが教えてくれたもの

編者/ベトちゃん・ドクちゃんの発達を願う会
   江崎智里・津止正敏・藤本文朗
定価 1890円(本体価格 1800円)
ISBN978-4-86342-023-6 C0036

●世界的に注目された分離手術から20年 今だからこそ語れるエピソード

 ベトナム戦争後の荒廃・困窮した社会状況の中で、15時間にも及ぶ大手術の成功は、内外の人々を大きく励まし、医療・医学史上のみならず、世界的にも注目されギネスブックに登録された。
ベトちゃんとドクちゃんの発達を願う会の支援活動とともに、日赤などの日本からの支援があったからこその成功だった。
 ドク君に子どもが生まれるというニュースが報じられている今、愛と平和のメッセージとして、分離手術の秘話の数々からその意義を考える。

●もくじ  

グェン・ドクさんへのインタビュー
 夢は障害者を支援する活動

はじめに
 ―ふたりの発達と私たち  藤本文朗

第1部 分離手術の歴史的意義と語り継ぐもの

 1 誇りをもって語り継ぐ
   ―ベト・ドク分離手術二〇周年
     ツーヅー病院 病院長 ファム・ヴィェト・タン
 2 自分の子どもや孫のように愛していたからこそ
   ―日本とベトナム・大きな人道主義
     ツーヅー病院 元病院長
      グェン・ティ・ゴック・フォン
 3 歴史的な分離手術から得たもの
    ホーチミン市医学協会 会長/
    ホーチミン市保健局 元局長
      ユーン・クアン・チュン
 4 両国の友情と理解が育まれ、新たな協力も進む
   ―今だから明かす分離手術秘話
     日本赤十字社 社長 近衛忠輝
 5 ベトとドクは世界の宝
    ベトちゃんとドクちゃんの発達を願う会 代表
     藤本文朗

第2部 海のように広大な“人道的な思い”の成果
     ―ベト・ドクだけでなく

 1 二人を救う複雑で困難を極めた分離手術
    平民病院 元副院長 ヴァン・タン
 2 植物状態のベト、神経系統の手術法を探る
    ―日本と国をあげての支援があったからこそ
      チョーライ病院 元神経内科科長
       レ・ヴァン・タン
 3 多彩な専門科医師と看護師を集めた手術チーム
    ―歴史的意義ある手術の成功で得た最大の学び
      第一小児病院元外科科長
       チャン・タン・チャイ医師
 4 駆け出しの麻酔医、多くを学ぶ
    ―麻酔科医の確立へのきっかけ
      心臓研究院 麻酔科科長
       グェン・ティ・クイー
 5 分離手術の成功が、高度医療の発展につながる
    ファム・ゴック・タック医科大学・救急麻酔学部
    副学部長  グェン・ティ・タン
 6 分離手術準備、そして二人の養育と成長
    ツーヅー病院 元病院長
     グェン・ティ・ゴック・フォン
 7 ベト・ドクだけでなく、障害のある子どもと
   母親のために
    第二小児科病院院長  チャン・ドン・ア
 8 自然肛門と生活にあった義足の開発
    ―日本から術後の支援
  (1)人工肛門閉鎖と排便機構の再建
    元三重大学医学部助教授  入山圭二
  (2)今後も生活にあった義足を開発・改良
    ドク君を支援する会/義肢装具士  幸 幹雄

第3部 二人の発達に寄せて

 1 ベトちゃん、ドクちゃん分離手術成功
   二〇周年記念式典に参加して  藤本貞子
 2 世界へ届け、“愛の車いす”運動  河原正実
 3 分離手術に立ち会う  中村悟郎
 4 小指の思い出  倉田 正
 5 ベトとドク、二人がそれぞれ自立した歩みを
   始めて二〇年  枡蔵千恵子
 6 結婚で変わった! ドクさんの自立と成長
     日野和明
 7 分離手術にかかわった人にインタビューして
     西村洋一
 8 再考・ダイオキシンによる人体への被害
     尾崎 望

最初の一歩を刻むということ―あとがきにかえて
  津止正敏

年表 ベトちゃんドクちゃんの発達と「願う会」の活動

「世界にとどけ愛と平和のアピール」

 21世紀を迎えた今、世界は混沌としています。
 1981年、ベトナムで可愛い男の双生児が生まれました。でも二人は、ベトナム戦争でアメリカが撒いた枯葉剤のためとみられる結合双生児だったのです。
 1985年、私たちは、結合双生児として生まれたベトちゃんとドクちゃんの発達を願う「特製車いす」を贈るとともに、彼らの障害の原因と考えられる「枯葉剤」の悲惨さを世界に向けて発信する「ベトちゃんとドクちゃんの発達を願う会」を設立させました。
 特製車いすは、日本の多くの愛の募金と、優秀な技術者によって完成され、ベトとドクのもとへ届けられました。
 1986年、兄のベトが急性脳症に罹り、危篤状態におちいりました。でも、ベトナムの熱心な看護と日本赤十字社を中心とする日本からの手厚いサポートによって、ベトは救われたのです。しかし、いつまでも結合双生児のままでいる訳にはいきませんでした。
 1988年10月、分離手術がツーズー産科病院で行われました。17時間にもわたる難手術は、奇跡的にも成功をおさめたのです。そして昨年、ベトナムで「分離手術成功20周年記念式典」が行われました。ただ悲しいことに、ベトは20周年を待たずに、2007年に亡くなっていました。
『地獄のようなベトナム戦争』で、勝者も敗者も数多くの死者を出したので、21世紀にはきっと平和な時代がやってくると信じたのに、いまだに戦争は終わりを告げません。
「どうかこの地上に、愛と平和が満ち満ちますように」。
 私たちは、未来を信じます。ドクが『平和の大使』として声をあげなくても、静かな一市民として暮らしていける時がくることを。ベトも空から祈っていることでしょう。
 私たちは美しい星、地球から、核兵器、化学兵器、生物兵器などがなくなるように力を合わせましょう。

2009年4月26日

「世界へ届け、愛と平和のつどい」参加者一同
ベトちゃんとドクちゃんの発達を願う会

 

◆◆◆◆ 関連書籍 ◆◆◆◆

ベトナムの枯葉剤

ベトナムの枯葉剤
〜ダイオキシンを追いかけて〜

著者:西村 洋一(にしむら よういち)
発 行:ミヤオビパブリッシング
発 売:宮帯出版社
定価:1300円(本体1238円+税)
ISBN 978-4-86366-061-8

―人類の愚行と希望―
 著者はプロのカメラマンではない。ベトナム戦争のあと、枯葉剤・ダイオキシンに因る障害をもった人たちを被写体に選び、医師でもない、普通の人の目から見た障害の実態を3年間余りベトナム全土を周って撮り続けた。突然の訪問にも関わらず、彼らの家族は著者の尋ねることに丁寧に答えてくれたという。読者は人間の尊厳を訴える写真の数々に圧倒されるだろう。そして本書こそ人類の愚行を証明するとともに、どんなことにも揺るがない人間愛に満ちた隻眼の書である。

西村洋一 略歴:1942年淡路島で生まれる。2003年洲本実業高等学校定年退職。2004年からベトナム・ホーチミン市のツーユー平和村でボランティアをしながら枯葉剤・ダイオキシン被害者の取材を続ける。

◆◆◆ 関連記事 ◆◆◆

毎日新聞 2009年4月27日
京都新聞 2009年4月27日
読売新聞 2009年4月27日
しんぶん赤旗 2009年4月30日
京都民報 2009年5月3日
本願寺新報 2009年5月10日
京都新聞(夕刊) 2009年6月6日
教育医事新聞 2009年7月25日

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