大きく大きく大きくなあれ
 ―通常学級の自閉症児教育


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大きく大きく大きくなあれ

著者/中川小由美
定価 1050円(本体価格 1000円)
ISBN978-4-86342-021-2 C0037

●パニック! こだわり! まわりの友だちは裕くんをどう受け入れるのか。

 2年3組(通常学級)の自閉症児裕くんが、暮らすの友だちや親、先生とともに育った1年間。友だちとその親たちの温かい眼差しの中で、一歩一歩成長していく裕くんの姿は感動的です。なんどもカベにぶつかった中川先生。だが子どもの可能性を信じるその語り口は常に明るく、読者に元気と展望を与えてくれます。(京都民教聯 西條昭男)

●自閉性障害をもつ子どもたちを理解する

●もくじ  

はじめに
担任するにあたって
 総合育成主任として
 まず健くんのお母さんに相談
 担任として
クラスの児童に理解してもらうために
 障害があるということ
 裕くんのこだわり
保護者に理解してもらうために
 自閉症とはどんな障害なのか
 今も許してる
座席
四月初めての参観日
日曜参観
こくご学習「スイミー」
お誕生日会 
夏休みの小さな自閉症児親の会
 疲れ果てるのではなく、笑っていられるように
 アートとして
 健を通して人がわかる
運動会
おいもほり
 たくさんのおいも
 おいもを描く
学習
 ひらがなを読む
 ひらがなを書く
 名前を書く
 大切なノート
 乙武洋匡さん
 連絡帳
パニック
学芸会
終業の日に
おわりに

はじめに

 もう何年も前になりますが、五月頃のある晩、見知らぬ女性から我が家に突然電話がありました。
「私は姫路市の小学校で教員をしているのですが、この四月から、初めて障害児学級を担任することになりました。その中に自閉症の子どもさんがいて、今、毎日が大変でとても困っているんです。意思疎通はできないし、毎時間教室を飛び出していくので、私はその子を追いかけてばかりの毎日で、へとへとです。もうどうしたらいいのかわかりません。どんなことでもいいから教えてもらえないでしょうか」という内容でした。その方は、私の大学時代の友人の幼なじみだそうで、友人と同じ姫路市で小学校の教員をしておられることから、私の存在を知り、切羽つまって遠い所から電話をしてこられたようでした。
 実は私は、大学時代に「障害児問題研究会」に属しており、「自閉症児の親の会」からの要請で自閉症児と遊ぶボランティアをしていました。その頃はまだ、「自閉症」といってもほとんどの人が聞いたことがなく、一般の方は自閉という言葉から、「家の中でじっとしている子」なんだろうぐらいの認識だったと思います。
 このボランティア活動は、毎週一回担当の子どもさんの家や学校へ行き、一緒に遊んだり、出かけたりするのが主でした。親ごさんには、少しの時間ですが子育ての軽減になりますし、自閉症児には、いろいろな人にふれあいたくさんの経験ができるということから、学生ボランティアが募集されていました。そこで私は、健くんという目のくりくりしたかわいらしい男の子の担当になりました。初めは家にも入れてくれなかった健くんでしたが、だんだん心を許してくれるようになり、私が行くのを楽しみに待っていてくれるのがわかるようにもなりました。そうして、一年、二年とこの活動を続けていく中で、健くんの成長ぶりを目の当たりにすることができ、卒業論文も「自閉症児の成長」について書くことができました。このように、私の学生時代は「自閉症」に関わった四年間でした。
 そのことをこの友人が覚えていて京都の私を紹介したのでしょう。でも、それは二十何年も前の、遥か昔のことなのです。あれから、私が普通学級でずっと教員を続けてきていることも友人はよく知っているはずなのです。それなのにそんな前の体験が当てにされるほど、今でも自閉症児を担任することは、困難なことであり、指導方法が希求されているんだということが分かりました。
 電話をくださった方には、学生時代を思い出しながら、その時の私にできる限りのお話をさせていただきましたが、あまり具体的なことは言えず、力にはなれなかったのではないかと思います。
 そして、今回私は、偶然にも普通学級で、「自閉症児」である裕くんを担任させていただく機会を与えられました。担任して、毎日毎日が新しい出来事の中で、失敗したことも多かったのですが、この一年間での裕くんの成長ぶりには目覚ましいものがありました。
 昨今特に、普通学級に、自閉性障害児が入級してくるケースが増えていますので、普通学級での取り組みとして、この一年間のあゆみをまとめてみるのも意義があるのではないかと思い、記録に残すことにしました。
 自閉性障害をもつ子ども達を理解するうえで、また彼らと関わるうえで、ささやかでも参考となれば幸いです。

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